「涼ちゃんが来ると、和友は

『殺してやる』
『俺の家族を返せ!』とか

涼ちゃんに言うようになり、一度
涼ちゃんを道路に突き飛ばしたことも…

『ごめんなさい…私のせいで』

そう言って、謝り続ける涼ちゃんが
可哀想だったけど…
見ないようにしたの

『幸せになって欲しい』

そう言って
涼ちゃんは、うちに来なくなった」










田中は、桐川さんに背中を擦られ

ボロボロ泣いた



社長が立ち上がる



「涼が生まれたと連絡を貰った日の事を
今でも覚えています
あまりにも可愛くて、小さくて
念願の女の子で…
この子を嫁には、出さず
一生大切にしようと、思いました
血の繋がりがないとわかったときの
ショックがどれだけかわかりますか!!
妻に… 断れなかったと泣かれ
毎日、喧嘩ばかりで
離婚をする事になった
涼は、可愛い娘に変わりない!!
だが、その娘が病気なのに、助けてあげられない!
この不甲斐ない気持ちが、わかりますか」


「ごめんなさい」


「実の弟と、接点が持てて
嬉しかったんでしょう…
田中君にだけ、笑顔を見せていたんだ
体に悪いとか、どうでも良かったんだろう
涼は、思いたったら止められない」


「兄ちゃんとあの人が、一緒にチョコ食べているのを見たことあって…
兄ちゃんを忘れて、ヘラヘラ笑ってたから
思い出させてやりたくて…」


「あの人とか言うな
姉ちゃんには、涼って名前がある
涼は、けいちゃんを忘れたことなんてない
毎晩、夜泣きしてうるさいくらいだ
けいちゃんが…
チョコ好きだから、チョコ見ると
思い出すって…
だから、俺はチョコ嫌いだって言った
そうすれば… バレンタインデーとか
しなくてすむから
田中さんも…姉ちゃんの弟になればわかる
どれだけ…けいちゃんに泣かされてるか」




涼は、その日 目を覚まさなかった


高熱で、魘され

鼻血が止まらないとかで





何度も看護師が部屋を出入りした





看護師から、帰るように言われるまで

皆で、今後の事を話した


田中には、もうアルコール漬けをするなと
一応、念押し


それから、移植の事


涼と従兄弟である桐川さんと弟の田中
そして、叔母さんは、血液型がO型



よかった…



涼が助かる