「何してるんですか!?」

介護士が駆けつけ、俺達が勝手に連れ出したと思ったらしく

こっぴどく怒られた…





涼は、部屋に戻され

俺達は帰るように言われた



施設の外で、田中に問う


「何でお前がいるわけ?」

「……」

「田中さん!!」



全く口を割らない田中


「明日、皆で話そうか」


田中に時間をやった











翌日




施設の面会室に

社長 田島夫婦 桐川さんカップル
田中 朱里 俺 


「まず、聞きたい
このセキュリティの施設にどうやって入っている?」

社長が優しく言った

「介護士の中に知り合いがいます」

「どうして涼にアルコールを?」

ナツが、目を潤ませた

「死ねばいいと思って…」

「田中!何言ってるんだ!!」

「兄ちゃんは、死んだのに!!
あいつは、ヘラヘラ笑って生きてるなんて
……許さない!!」


田中は、そこまで言って唇を噛み締めた


「涼ちゃんとデートした時…
『私の事、覚えてますか?』って
聞かれたんだ
覚えがなくて、わからないと答えた
和友……思い出したよ」


桐川さんが、田中を下の名前で呼んだ


「二宮家から、引き取られたお前を
『私に育てさせて下さい!』って、何度も
田中の叔父叔母の所に頭を下げていた
女の子が涼ちゃんだ
『私の弟なんです!』涼ちゃんは
そう言っていたよ」

「は?あの女が、俺を引き取りたい?
弟?……やめてくれよ!
徹兄ちゃん!あの女さえいなければ
兄ちゃんも父ちゃん母ちゃんも
自殺しなくてすんだんだ!!」

「あの……二宮って… 兄ちゃんって…
二宮 桂介?」

田島が聞くと

桐川さんが頷いて答えた

「桂介と和友は、俺の従兄弟なんだ
和友が修学旅行でいない間に自殺した
二宮家と涼ちゃん…どういう関係だったのかな」

社長が恐る恐る問う


「田中君、君のお母さんの名前は?」

「涼子ですけど…」

「間違いない……涼は、君の姉だ
桂介は、俺の息子だったのか……
俺は、知らなかったとはいえ
涼に酷いことを……」

真っ青な顔色で、頭を抱えた社長が続けた


「元妻、桂子はね
生まれた子供を入れ替えたんだ
病院で仲良くなった人と…
田中クリニックで…
どうしても男の子が欲しいと頼まれて
桂子は、断れなかったそうだ
そのことを知ってから、離婚した」


「あの女が… 嘘だろ…」