「今週、涼ちゃんのところに行かないか?」


福来の誕生日の翌日に、桐川さんが提案してきた


作戦通りだ


「いいですね!皆で行きましょう!」





そして、土曜日


施設の前に集合


社長が面会の手続きをして、中へ




「涼を連れてくるから、待っていてくれ」


予想外に社長が、俺達から離れた

社長が本当に味方なのか、確信がない

慎重に! 観察するぞ!




「こんにちは」

桐川さんが、挨拶する

涼は、ペコリとお辞儀する


「姉ちゃん!俺…わかる?」


朱里が、聞く  涼が頷く


「名前書いて!」


朱里が、強請ると涼が右手にペンを持った


〝ささき あかり〟


今は、有瀬  嘘だ



「涼!差し入れもって来たんだ!
どっちがいい?」

田島がプリンとヨーグルトを出した

左手でプリンを指した


涼は、ヨーグルトが苦手  本当だ



「あぁすまないが、ここで出された物しか
食べられないんだ…
涼…ダメ!いいね…?」

好物のプリンをジーッと見て

〝たべる〟 左手で書いた


蓋を開け、おさじと一緒に涼の前に置く


ペコリとお辞儀して、いただきますをして
食べ始めるが…

無表情…


田島夫婦と朱里の情報では、どんなに
ご機嫌斜めでも、暴れるくらい喜んで食べるらしかった


演技じゃないのか?


たまたま右手と左手が偶然に、本当と嘘に
なっただけか?