N社と製造機器の共同開発をすることになったのは、もうすぐ子供達が夏休みに入る

7月の事





N社の社長 社長の息子の指揮のもと



開発プロジェクトチームが発足して


桐川さんと俺がメンバーに選ばれた



偶然、社長と桐川さんと俺の3人になり


「お嬢さんは、お元気ですか?」


桐川さんがしれっと聞いた


「元気と言えば、元気だな」


「どちらにいらっしゃるんですか?」


俺もしれっと聞いた


「有瀬君、朱里を引き取ってくれたそうだね?」


なんで…知ってんだ!?


「ええ、うちの会社に就職したんですよ」


誤魔化してみた


「公私共にか… ふっ
朱里もプロジェクトチームに入れてくれ」


予想外な事で、俺らキョトンとする


「はっはっはっ
俺を悪人か、何かと思っているのか?
これでも、俺は涼の父親だよ
涼は、人前に出せない状態だ
だが… 俺も確認したい
君達にどんな反応をするのか」


憎たらしいくらいに、格好いい笑い方して
転院してからの事を語ってくれた


適合検査を受けることもなく
移植が出来ないこと

涼の本当の父親でない事を隠したかったそうだ


結婚し、生まれた涼と血の繋がりがない事を知ったのは

涼が、中学に上がる前

喧嘩になり、離婚したが


自分を父親と慕う、涼が可愛くて

ずっと会っていた


再婚相手の息子がO型で、適合検査の結果

適合した為、手術を行った


意識を取り戻したのは、1ヶ月たってから


しかし


頭を打ったせいで、高次脳機能障害になったそうだ


昔の記憶は、鮮明だが

最近のこと、今言ったことが覚えられない

集中力もなく、何も出来ない


おまけに、言葉を喋れないそうだ


感情乏しくなり、表情もないそうだ



「それでも、会いたいです」


涼が好き

その気持ちは、変わらない