朱里とN社の社長が
N社の応接室に入って

1時間ほどしてからだった

ロビーで待っていた俺のところに

戻った朱里は、顔面蒼白

ダメだったのか……







とにかく落ち着いたところで話をしたいと
外に出て喫茶店に入る


コーヒーを注文した後

朱里は、手に持っていた封筒を俺に出した


「朱里 これにサインしろ」


そう言われ、いくつかの紙にサインをした
らしい

その書類の内容が…



涼と朱里の家族関係を解消する書類


涼と関わりをもってはいけないとか


信じられない内容だった…



「お前……なんでこんなのにサインしたんだ!!これには、移植のことなんて
なんも書かれてねぇじゃねぇか……」


「姉ちゃんを助けたい一心で…
サインしたんだ……
内容…ちゃんと読まなかったんだ…」


「くっそ!!朱里が未成年ならまだどうにか
いや……相手が悪いな」


「パパ…
会えなくなる前に、姉ちゃんとこ
連れてって……」



朱里と車で病院に行ったが



「つい先ほど、転院されましたよ?」

「どこに!?」

「それは、御家族の意向で話せません」


いくら聞いても教えてくれなかった……


「俺…弟……じゃなくなった……」


朱里の荷物をとりに行くのと、冷蔵庫とか
片付けたりで、涼と朱里の家へ


「うそ……なんで……」


涼の物がすべてなくなっていた


ベタリと床に座り込む朱里の横に座る


「朱里… ここ引き払って、うちに来い
きちんと養子縁組して、有瀬朱里として
涼を探そう」

「パパ…」

「俺は、パパじゃないだろ!
朱里のお兄ちゃんになるんだ!」


すぐに家を売り出す手続きをして

荷物を移した




「パパとママと涼と俺の家……ごめん」






朱里が、可哀想で……


涼が心配で……