その日、呼ばれたはずの社長は、来なかった


「朱里…説明聞きに行こう」


面会時間も終わる



医師は、にっこり笑って

「朱里君かな?大丈夫?ちょっと…
辛い話になるよ?」

「……大丈夫です」


家族だけってことで、廊下で待っていた


フラフラと真っ青な顔で出て来た朱里…


朱里を支えて、下のロビーでコーヒーを

買う


ベンチに座り



「先生…なんだって?」





ぷるぷる震え朱里が、言った






「姉ちゃん… 

怪我した頭から、血がたくさん出て止まらなかったんだって
血が止まりにくいのは、肝臓の病気が悪くなっているからで、早く移植しなきゃ

……危ないんだって

それに…… 出血の量と頭を打ったことで
今、熱が高いらしいんだ
意識が戻るのに時間がかかって、体力が低下したら……

移植出来ないって…」



「……」



「俺……涼のお父さんに頼んで
適合検査を受けて貰う!」


「朱里!そうだな!頼んでみよう!」









多分… 甘くみていた


社長だって、人の子


本当は、自分の娘を助けたいはず


なんて… 












涼に酷い言葉を平気で言える奴ってこと







忘れていた……










ただ、涼を助けたかった