ナースコールで、駆けつけた医師が


「眠っただけですね」



脅かすなよ



あんな寝落ちするか?



「あの 貧血って、大丈夫なんですか?」


恐る恐る医師に聞く


「なるべく安静に過ごさせて下さい」


ペコリと頭を下げ、部屋を出て行った

すげぇ誤魔化された感なんだが?


朱里は、涼の右手を両手でぎゅうっと
握り


泣いていた



「俺、もう少し朱里といるんで、皆は帰って大丈夫ですよ」

大勢いても、迷惑だろう


朱里の隣に座り、背中を撫でた

「あー悪い
家に電話してくる」

残業だったから、父ちゃん母ちゃんが
来てくれている


涼が倒れて入院したこと

朱里が、泣いていてひとりに出来ないこと


説明すると


「父さんがそっちに行くって!
光は、明日も仕事でしょ?」


祐来の時も、両親は面倒をよくみてくれた


親に頼り切りの自分の不甲斐なさが

悔しい


結局、涼を苦しめているのは、俺かも


俺が告白とかしたから…


悩んで寝れなかったとか…






「パパ…明日も仕事だよね?」

「うん… 帰るけど、父ちゃんが来てくれるって」

「本当!?」

「なぁ?朱里… 俺のせいかな?
俺が、涼を苦しめてんじゃないかな?」

「パパ… 涼は、パパが好きなんだよ
涼は、恋出来ないって言ってたけど
俺に白状したんだよ…
有ちゃんが好きなのに…
好きなのに…って泣いてたよ
けいちゃんの最後を思い出して、怖いのかな?パパ…涼のこと、諦めたりするなよ!」



父ちゃんが来て、交代してくれた



多分…




今の会話、聞かれたな…






好きなのに…



恋、出来ない






なんだそれ?