告白どころじゃなくなって

もう2週間




機械トラブルで、今回は加藤さんが来てくれた


桐川さんと3人で休憩の時に

「佐々木が辞めるんですよ
まいりましたよー
前々から、社長と噂されていたけど
今回は、週刊誌ですからね
事実じゃなくても、かなり傷ついたみたいで… なのに、社長は冷たい
ほとぼり冷めるまで、会社に来るなって
なら、辞めますってなったんだけど…」

「本当に辞めるんですね…」

「もう、有給消化中ですから
呼び出しもしてないですし、のんびりやってるでしょうね」



もうすぐ晃喜の誕生日だ

涼と朱里を招待しよう









その夜、涼に電話をかけた



「もしもし」

『パパ…』

「朱里?」

『…うん』

元気のない朱里に不安になる


「涼は?」

『しばらく、帰って来ないんだ…』

「どういうこと?」

『わからない…来週の月曜日には帰るみたいだけど… さみしい…』

「朱里… うちに来いよ」

『いいの?』

「いいに決まってるだろ!」


よほどさみしい思いをしたらしい

うちに来た朱里は、痩せていた


「こんなに姉ちゃんと離れたことなくて…
2週間も家を空けるのに、行き先言わないで、携帯置いて行くとか…
心配だし、不安だし、さみしいし…」

「来週の月曜日に帰って来るってんだから
こんなに痩せてたら、心配するぞ!!
なんか作るから、待ってろ!」


といっても、大した物がなくて…

焼き飯



「パパ!美味しいよ!!」

「だろ!?」


まぐれだろうな… よかった…




涼…




「書き置きしたか?」

「うん!〝パパのところに迎えに来て!〟
って書いた!!」





月曜日



ピンポーン



迎えに来た涼に朱里は、飛びついた

それは、涼が潰れるんじゃないかって

勢いで



「ただいま!有ちゃん、ごめんなさい!
朱里が、お世話になって…
学生とはいえ、二十歳だからひとりで
大丈夫かと思ったんだけど…
コレ、お土産!!健介達にも渡して!!」

「行き先くらい、教えとけよ!!
朱里が、どれだけさみしい思いをしたと思ってんだよ!! 痩せて、可哀想だったんだぞ!!携帯置いて行くにしても、公衆電話使って、連絡出来ただろ!!」

「ごめんなさい」


しょんぼりする涼を朱里と一緒に抱きしめ
泣きそうになるのをこらえて言った


「おかえり」


逃げたくなったのか?

ずっと、働き続けて休みたかったのか?

ひとりになって、ゆっくりしたかった?

やりたいことの準備か?


聞きたいことは、山ほどあるが

とにかく、帰って来てくれて

よかった



「涼… 俺と付き合ってくれないか?
結婚前提として…」



玄関で、朱里の前で言うことではない

だけど…


今言わなくちゃ


また、どっかに行ってしまいそうで…









勇気を振り絞った俺の告白


大きな涼の目から、涙がポロリ


「有ちゃん… ごめん
私… 恋、できないの…」


朱里の荷物を持って、朱里をグイグイ引っ張って、出て行った


振り返ると福来と晃喜が、キョトンとして

玄関のドアをみていた


「ママ…」

晃喜が泣き出すと


福来も、慰めながら泣き出した


そんな2人をヨシヨシしながら


「パパ… 涼が好きなんだ
お嫁さんにしたかったけど、断られちゃったな」





失恋した



何より、あんなに辛そうな表情…


涼は、まだ桂介が好きなのだろうか…