いつもの店に田島と俺、そして

猛烈に俺を睨んでいる北村



まず、立ち聞きしたことを素直に謝る



そして、誤解なんだと説明する




「普通さ、キスの前に付き合おうとか
そういう告白するでしょ?」

「緊張して…」

「涼は、有瀬のことどう思ってるって?」

「涼もちゃんと言わないけど、どうしようとか言うくらいだから、好きなんじゃない?
少なくとも、桐川さんの時みたいな、ヤケクソ感はないし」

「まあ ちゃんと告白するべきだな」

「そうね、どういうつもりでキスしたのか
人違いじゃないって、誤解もとかないとね」




本当、こいつらいてよかった









明日の昼休みに休んでいるであろう涼に
電話して、週末に時間を作ってもらおう



と、いうことでまとまった



翌朝




「大変!!」



出社早々、北村が週刊誌を見せてきた

〝N社 社長!
人気ドルフィントレーナーと不倫!!!〟


モザイクしてあるけど、涼に間違いない

すぐに田島が涼に電話をかけた


「出ない…」

「嘘だよ!こんな記事!!」

「当たり前だろ!涼は、んなことしねぇ!」

「俺もかけてみる!!」


カバンから、ガサガサ携帯を出していたら


「佐々木さんなら、後で来るみたいだぞ?」


桐川さんがひょこっと週刊誌を覗く


「バカバカしい… 仕事するぞ!!!」



昨日は、応急処置だったらしく

今日、部品交換作業をする


っていうか…


休む気なかったんだ…


なんで、そんなに無理するんだよ…


週刊誌のことを知ってる奴が、涼をチラチラ見る

涼は、全然気にしてなさそうだった


作業が終わったら、休憩室で涼とお茶


「私… 仕事辞めることにしたの」


驚き過ぎて、皆が言葉を失う


「ちょっと前から、考えてて
ゆっくりと色々、したいことあるし
あと1年働くつもりだったけど
朱里も辞めていいって言ってくれて
廻りからは、報道があったから辞めるみたいだから時期を伸ばせって言われたけど
疲れちゃって…
今朝、辞表出したの! すっきり!!」


にっこり笑って、親指立ててくる


「いいの!?
この仕事好きだって言ってたじゃない!?」

「私だけなのよ
同期で、役職ついてないの
社長に憧れて、社長に認められたくて
頑張ったけど、結局便利な平社員
愛人だの不倫だの迷惑だし!
さて、半休とってるから帰るね!」


ちゃんと休みとったんだ…よかった



仕事… 辞めるんだ…