1週間の研修が終わると

Bチーム全体の飲み会があり、誘われた


桐川さんと参加した


出し物とかあって、涼がヘンな踊りして

笑った



「桐川君と佐々木は、2人で二次会だ!」



「俺、先に失礼します」

「え?帰るの?」



「桐川君!!手を繋いでいけ!!」

酔っぱらい達が2人を後押しする


桐川さんが涼の手をとると、涼は真っ赤になって、俯いた


「うわっ 佐々木が乙女になってる!!」



冷やかされていたけど

嫌そうでは、なかった



「涼ちゃん、飲みすぎないようにね!」

「うん… ありがとう またね」



一瞬だけど、不安そうな顔をした










帰りついてからも、なんか気になった

風呂入って、少し仕事のこと考えてた


〝起きてる?〟


涼からのメール


〝起きてるよ〟

〝ごめん、少し会えないかな?〟

〝いいよ 今どこ?〟

〝有ちゃんちの前〟

!!!

シャーーっと、カーテン開けたら…いた


涼だ


「あがりなよ」

「ごめんね 夜分に…」

リビングに通し、お茶を出した

「桐川さんとなんかあった?」

「うんん 何も
どうしていいかわかんないんだよね」

「そんなに、気負わなくていいんじゃない?
桐川さんは、いい人だけど
涼ちゃんが一緒にいたいと思えないなら
断ればいいわけだから」

「いい人すぎて…
どう断ったらいいのか…」

「今までみたいに、逃げちゃ駄目だよ
桐川さんは、真っ直ぐに涼ちゃんを想ってるんだから、涼ちゃんもよぉーく
考えて、答えを出したら?
断る前提で、一緒にいるから楽しくないんじゃないの?」

「うん… 
有ちゃんさ…
奥さんのこと、聞いていい?」

「いいよ」

「今も好き?」

「恋とかそんな感じじゃないけど、好きだよ
それは、ずっと変わらない」

「……そっか
ありがとう……タクシー呼んでくれる?」


送るって言うと、子供達が起きて
パパがいないとさみしがるよって

「すぐ来るだろうから、外に行っとく
見送りとかいいから!おやすみ!」


涼が玄関を出るとこまで見送ったとき
外に出ようとした俺を中に押し戻した


家が近いし、タクシーだけど

酒飲んでるから

ちょっと羽織るものを持って外に出た

母ちゃんが冷房苦手で、いつも羽織やつ


「涼ちゃん 寒くないかもだけど
コレ……」


持っていたものを落としそうなくらい

驚いた


「もう!だから、見送りいいって言ったのに!!」


泣いていた

涼が泣いていたのに、へらっと笑った


「無理して笑うな」


涼の肩に羽織をかけ、抱きしめた


「大丈夫!俺は、涼ちゃんの味方だから!
いつ来てもいいし、何でも相談して!」

「……ありがと」



タクシーのライトが見えるまで、抱きしめ
背中を擦った


「おやすみ」 「おやすみ」



こんなに、寂しくなるなんて

涼のにおいとか、温もりとか

全部、愛おしくてたまらない



人の幸せを願えるのかな…




「バカね… 母さん達がいるんだから
送っていけばいいのに…」



起きてたのか!!

見てたのか!!

コノヤロ!!





「涼ちゃんには、いい人がいるの!!」

「そんな感じなかったわよ?」

「るせぇな」





母ちゃんから逃げ、子供達の寝顔を見てから、仕事部屋に入った