「有瀬!!送り狼になるなよ!!」

「…なりませんから」


桐川さんは、反対方向なので

俺と涼が一緒に帰ることに


酔いを覚ましたいからってことで、俺んちから歩く


「もうすぐ、学校だね」

「そうだった…」

「夏休みって、子供の頃は長いなぁって思ってたけど、大人になるとあっという間だね」

「涼ちゃん…福来のこと、色々してくれてるみたいで、ありがとう」

「あれ?バレてた?」

「朱里君が教えてくれたんだ」

「あぁ 朱里がね
ふふっ朱里にね、桐川さんのこと話したの
そしたらね……」

「なに?」

「年上は、ダメだ!許さないって
ついでに年下も、ダメだって」

「同じ歳しかないじゃん?」

「ふふっ パパならいいって」

「え?」

「家が近いからだって」

「なんだそれ?」

「あははっ 有ちゃんが嫌だよね?
私とじゃ……」

「……」

「おやすみ」

「えっ ちょっと!あー おやすみ!」



都合のいい気のせいか?

涼が、なんか言った!!


俺の心臓が、暴れてる


まっ まさか…… だよな?




寝る前だった



〝さっきのは、忘れて下さい
酔っぱらいの戯言です
これからも、仲良くして下さい
おやすみなさい 涼〟




初めての涼からのメールだった



〝嬉しくて、驚いた
酔っぱらいだとしても、ありがとう
おやすみ 光〟


口では、恥ずかしくて言えない

素直な気持ちを送った

涼の真似して、俺も名前を最後につけた




週明け




学校が始まり、また慌ただしい朝

今日から、N社へ研修だ


気合いを入れる!!


セキュリティが万全なN社の工場


「おはようございます!
いや~佐々木を落としたのどっち?」

「君か~」

「どうやって口説いたの?」


会う人が皆、桐川さんと涼のことを聞く

涼のプライバシーどうなってんだか

強面2が、くっつけたくらいの話になってたりする

どっちかと言うと、社長だけどな



「今日から、佐々木も現場復帰なんですよ」



仕事が始まる前だけど、もう中に入っているらしい


俺達も中に入る


交代前で、ラインに人が溢れている


皆同じ格好してるのに、涼は目立つ

3人の男らと、遊んでいた


ここまで案内してくれた加藤さんが

交代前のBチームを集めた


「佐々木の彼氏は、どっちですか!?」


早速、からかわれる


「桐川です
佐々木さんへ真剣にアタック中で、まだ彼氏ではありません!
どうか、あたたかく見守って下さい」


桐川さんって、やっぱりすごい


「おおーー男前だなあ!!佐々木!!」


歓声が上がり、涼はバシバシ叩かれる


「うるさいなぁ ほっといてよぉ」


Bチームは、仲が良い


皆、涼を応援しているようだった



「あんまりからかうと、蹴り飛ばされるぞ」



加藤さんの言葉に、皆が笑う



どうやら、竹山を蹴ったのは、事実らしい