4人とも、酔って来た頃


「涼 桂介って人、まだ好きなの?」

「ナツ!!」


北村は、真面目な顔して〝桂介〟という
出すなと言われた名前を出した


涼の瞳が揺れて、俯いた


「大丈夫?」


涼の顔を覗き込むと、真っ青だった


「横になった方がいい!!田島、水頼め!」


涼を横にして、お絞りを首に当てた


しばらくして、少し顔色が良くなった


「ごめん… 帰る」

「俺も」

「有ちゃん… ごめん
私、代行で帰るから」

「近所だから、一緒に帰る!
朱里君に頼まれてるし」


何度も断られたけど、一緒に帰ると言い張り、店を出て歩く


「桂介……」


涼が呟いた


涼の方を見ると、ポロポロと涙を流してた


北村のバカ…


この反応みたら、答えなんて聞かなくても


まだ、好きなんだって


わかるじゃねぇか……



涼の手をひいて、代行がいるとこまで歩く




「け…すけ…ふぇっ……うぅ」



家に送り届けると、朱里が

顔をしかめた


「酒やめろって… 死ぬぞ… マジで…」


朱里は、自分の頭をがしがししてから



「パパ まだ時間いい?」

「あぁ 大丈夫だけど?」

「涼を病院連れて行くから、世話して」



時々、ねぇちゃんではなく涼と呼ぶ



朱里の運転する車の後ろ、涼が苦しそうに
呼吸を乱した


「桂介… け…すけ…」


病院に着く頃には、真っ白になってて


すぐに酸素とか、点滴とかされて


俺は、怖くなった



「パパ… 大丈夫?」


心配そうな朱里に頷いてみせた


「アルコールが合わない体質なんだろうな
適量超えたら、こうなるんだ
後…
両親の事故もそうだけど
けいちゃんのこと思い出したとき

けいちゃんは、酷いよ
死んでも涼を離さないんだから…
自殺だったんだ…
涼に発見させて、こんなふうに苦しめて
酷ぇよ…」



本当に酷いと思う


胃洗浄をして、病室で眠る涼は

いつかの祐来のようだった……






俺は、怖くてたまらなかった……






「パパ 明日仕事だよな?送るよ」

家に帰ると、仏壇の前に座った


「再婚どころか… 恋もできねぇよ…」


祐来に、愚痴言って寝た