試運転は、うまくいった

細かい調整の仕方を涼が俺達に教えてくれた

その説明のわかりやすいこと!


「相変わらず、機械マニアだな」

「誉めてるよね?」

「一応」

「田中君、わからないことがあったら
有瀬さんに聞いてね!!」

「え?」

「田中は、俺の担当だ!!」


「可哀想に」


いつもの2人に戻っていた










翌日


N社から、新しい品質管理が来た

竹山は、この仕事から外された



試運転の視察に来たN社の社長の隣に

工程の説明をする涼



社長は、年の割に、若い感じの人だ



「佐々木君 時々 様子を見て報告してくれ
頼んだよ」


涼は、信頼されている


強面達も知識や技術、経験だってある

それでも、涼に確認したり
涼にやらせたり

「手が小さいから、機械に入りやすいのよ」

って、言っていたけど

育て甲斐があるんだ






北村の発案で、本日 急遽

飲みに行くことに


明日、全員休みなのだ




しかし、たんなる飲み会ではなかった

涼にめちゃくちゃ酒を飲ませてから

北村が話し始めた


「涼さ
けんちゃんのこと、まだ好きなの?」


どうやら、ヤキモチ焼いた北村は
涼から本音を聞きたかったようだ


「私、健介のこと好きじゃない」


北村の横で、田島が頭を抱えた


「やっぱり誤解したか…あれ、嘘だから」


!!!!!


「じゃあ!涼の好きな人って誰!?
呼ぼうよ!!」

「誰って、ナツ知らないだろ!?」



黙っていた涼は、カバンを持った


「ごめん……帰る」



引き止めようとしたけど、田島がジェスチャーで、やめろって





涼が帰ってから、北村が言った


「涼とキスしたんでしょ?」

「は?してないけど…」

「嘘!!涼が言ったもん!!健介って!」

「俺じゃねぇよ!!
桂介(ケイスケ)だろ!?聞き間違え…あっ」

田島が口を押さえた

が、もう無駄だと、判断した


「桂介って名前、涼の前で出すなよ!!
桂介は、もう亡くなってるから…」




好きな人を亡くした

涼と俺は、同じだ…