ほんの少しだけ。ほんの少しだけど。


「……っ…。」


何度か見慣れているはずの顔がかっこよく見えた。


「なぁ、舞子はさ。これとこれどっちがいいと思う?」


そういうと彼は迷っている服を私に見せた。


藍色のカットソーか、ボーダーの七分丈。


「私は………そっちのカットソーがいいと思うな。」


私は彼が左手に持っているほうをさした。


「そ。じゃあこれ買うわ。」


「買っちゃっていいの……?私が決めちゃったのに…。」


「どっちにしようか迷ってたし。悩むんだったら、そっち買ったほうがいいだろ。」


彼はボーダーの服を戻すとレジに並んだ。