ベッドに仰向けになり、毎日のように考える。
ネックレスを右手で握りしめると背中の傷が少しだけ疼いた気がした。

「…好きな人…か。」

いないよ。
今はもう、どこを探したっていない。
あの日、蓮の時間は止まった。
だから私の時間も止まっている。
やっぱり前になんて、進めないよ。

「…蓮、夢でも良い、会いに来てよ。」

嘘。
夢で会ったらまた、哀しくなるし、色々思い出してしまう。
いや、本当は一瞬だって忘れたことはない。
あの出来事は何がどうあったって忘れちゃいけない。

それが私に与えられた罰。
それが私の償いだから。

部屋に広がる静寂を壊したのは、雨の音だった。
ここに来てから初めての雨。
小雨かと思ったら、それはすぐに横殴りの激しい雨となり、窓を叩いた。

私は布団に潜り込み、イヤフォンを耳にして音楽を流した。
雨の音は身体に悪い。
雨の音は聞きたくない。

私は雨が、大嫌いだ。