「…リドなの?」

リド。
それは中学時代友達のような人。
時々公園で会って話す、それだけの関係。
ただ、あの頃はまだ月龍にも入っていなかったし、蓮とも出会っていなかったから、退屈な日々の中では楽しみに感じていた。

「そうだよ。やっと気づいてくれた?」

でもだって、リドは国に帰ったんじゃなかった?
しかもあの時は関東で、今は中国地方だよ?
確率的にありえないでしょ。

「…何でここにいるの?って顔してるね。国に帰って、やっぱり日本にいたくて俺だけ戻ってきたんだ。」
「そう、なんだ。」
「俺はね、ずっと真城さんのこと探してた。関東で見つけた時には色々変わりすぎてびっくりしたけど、とりあえず高校を卒業したらそっちに行こうと思ってたんだけど、まさか真城さんがこっちに来るとは思わなかったよ。」

わかる訳ないじゃない。
だってリドは外国人で、自分の国に帰って、もう会えないねってそう言ったのに。
それに、フルネームも知らなかったし。
間宮 誠治なんて言われてもわかる訳ないじゃん。

「改めて、俺は間宮 リドマティス 誠治。よろしく。会えてよかったよ。」

リド。
私の初恋の人。
蓮に何度も忘れろって言われた人。
どうして今になって会ってしまったんだろう。
もっと早く、再会できていたら良かったのに。
蓮を死なせてしまったのに、私だけ幸せになんてなれる訳ない。
でも、叶うことなら、リド、貴方のその手を取りたいよ。