朝の爽やかな風が頬を掠めた。

 しかし、肝心の差出人が現れない。

 屋上に着いたのはつい先程の事だった。着いてから1分も経っていない。それでも1秒1秒が惜しくて、物足りなくて、寂しかった。体が差出人の温もりを求めていた。

 ポケットに入れていた___少しシワのできた___手紙を取り出す。それを差出人に見立ててそっとキスをした。