「なに、どうした?」

「何もねえ」


フイっとそっぽを向いた山田に対して私は、えー?と言いながら立ち上がり、スッとポストにハガキを入れた。


…そろそろ帰らなければ、お母さんの頭に角が生えてしまう。



私はくるりと帰る方へ体の向きを変えてから、山田を首だけで振り向いた。


「山田ー。今時ラブレターなんて珍しいけど、その分もらった相手は嬉しいと思うよ。

だから頑張れ!ポストに入れるだけだし、簡単じゃん!」


「三浦…」

「それだけだから、じゃーね」

「…おう」




───帰り道。

家までの短い距離を歩く私は、ちょっぴりいい気分になっていた。



…頑張れ山田。