儚い瞳の守り人



そんな考えを振り切るように小さく頭を振った。


考えちゃいけない。萊が撃たれたときのことなんて。そんな、縁起の悪い妄想……。

わたしは何も考えないでいい、萊の言う通りにして、萊を信じて、黙ってればいいんだ。


大丈夫、大丈夫。萊がなんとかしてくれる……誰も傷付かないように。



「おかしいな…」

いつも通りの落ち着いた口調。口をあまり動かさず、息が混じるような声で萊は呟いた。


「何…が?」


今度ははっきりした声で答える。

「やつら、俺らを狙ってない」

「え?それってどういう…」


「わざと外してる。俺らが逃げてるから弾が外れてる訳じゃない」


どういうこと?

無数のはてなマークが浮かぶ。


なにそれ。

わたしたち龍人を殺そうとしてないのなら、わたしたちは何で追われてるの?


わたしたちを生気不能にして、捕らえて、研究して、龍人の存在を世間に公表して、世界中のヒーローになり、わたしたちのような人間を差別して悪者にする。

龍人を狙う人たちの目的はそうじゃないの?