「えっ…と。どうする?ここで待機した方がいいかな」
みんなはどうしてるのかな。
教室では何か起こってるのかな。
萊は……。
騒ぎも何もない静かなこの場所は、安全な場所のようにも思えるけれど、他のところは…危険なんじゃないのだろうか。
沙鷗は考えるように眉間にシワを寄せて下を向いた後、わたしの方を険しい顔で見て黙って頷いた。
今は何も起こってる気配はないけど、やばい状況なんだよね。
あまりにも静かなことに、だんだんと不安を覚え始めたとき、小さく風をきるような音がわたしの耳を掠めた。
「きゃっ‼︎」
目を閉じたわたしがそっと目を開いて横を見ると壁に小さな穴が開いている。
なに。これ。
「……あそこに誰かいる‼︎」
沙鷗が指を指した方向にライフルのようなものを持った黒い影が動いたのが見えた。
まさか……まさか。
沙鷗に手を引かれて取り敢えず無我夢中に走った。

