仁くんがじっとこちらを見てくるので、萊を想って、萊にいい格好を見せたくて身だしなみを整えてる、とか勘違いしているのかもしれない。
そんなことないんだけどな。
わたしが萊をどれだけ想っているとかいないとか、そんな気持ちの重さは思っているほどみんなと変わらないのに。
他の人からはどうやらわたしが萊に依存しているように見えるらしく、萊だけが大事というように見られているらしい。
そりゃ萊は大事だけど。
わたしの守り人でずっといて欲しいと思うぐらいにはーー。
守り人。
それは龍人と呼ばれる龍の鱗を持つ人間を守る、選ばれた人のこと。
現在この国で把握されているわたし以外の龍人は全部で4人いる。
大学生の鷹姉と亜紀兄、社会人で警察庁で働いている仙崎さん。そして萊。例外の萊以外には全て守り人が付いている。
その守り人の中でも萊は16歳の高校1年生という若さで初めて受けた審査会で1位通過。第一守り人の最年少記録者。
萊は『龍の肉体』によってもたらされる抜群の身体能力、その他に物事の理解能力と判断力も十分にあると判断されて審査に合格した、と後から他の人に聞いた。
そして1位通過した者は1番危険度の高い『龍の瞳』を持つ者につくというのが通例らしく、わたしたちは守られるものと守る者という関係になった。

