儚い瞳の守り人



二次審査会が終わり、ぞろぞろと出て行く審査対象に連なって一番最後にビルの外へ出ると、太陽の光が眩しく思わず目を細めた。


スーツは右手に抱え、ネクタイは思う存分緩め、シャツの第一ボタンはもうすでに開けてある。


ーーふぅ。今日は天気がかなり良い。

澄み切った青空は雲ひとつなく、淀みのない空なんて俺には嘘にしか思えない。


「萊斗」


呼ばれた気がして後ろを振り向くと、さっき審査長として俺の前に、なけなしの威厳を見せながら座っていた、中麻だった。


「何ですか」

「今日は感謝してる。ありがとう」

一瞬何のことか分からなかったが、すぐ今日の審査会で俺が国に協力していたことを思い出す。


「あぁ別にいいですよ。審査対象に動揺を与えるためにとは言っても俺はただ事実を言っただけですし。それに交換条件は飲んでもらいましたから」

「お嬢に関することか」


俺は当たり前だと言わんばかりに中麻の目を見た。


「拳銃の使用許可です」