儚い瞳の守り人



「榎本 萊斗(エノモト ライト)18歳。どの競技でもアスリートと互角に張り合える桁外れの身体能力が武器。

……これでいいですか?審査長」


俺は出来るだけ平静を装おって、静かに中麻に聞いた。


「あぁ……いいだろう」

ゆっくりと言葉を発した審査長の低く唸るような声に、周りのざわめきが混ざる。声には出ない態度のざわめきが。


ふざけてると思うか?

高校生がこんなところに来て何を言ってんだって。


思いたい奴は思えば良い。



龍人の中で唯一能力のある『龍の肉体』を持つ龍人兼、危険度が1番高い黄金の瞳を持つ龍人の守り人。

俺のありえない要素はもっと沢山あるっていうのにな。


これぐらい動揺してる奴らは、この何もかもがおかしいこの世界ではやっていけねーよ。

頭が固くてそんなことはあるはずがないと信じてる馬鹿な奴らもだ。


俺を餌に使って作り出したその光景も、審査官は見ているというのに。



俺はここにいる60人の表情と態度を目に焼き付けるように360度見回すと、大人しく椅子に座った。