儚い瞳の守り人



朝食を食べ終えて寮を出たわたしが通う小中高大一貫校の皇成学園までの距離は歩いて1、2分。


時々沙鷗の言葉を思い出して顔が緩んだり、しかめたりしているところを仁くんに怪しそうな目で見られながらも、特に中身のない話をしながら歩いた。



1つ年下の仁くんは普段は別の教室だけれど、今日は守り人として同じ教室にいることになる。


そして教室でのわたしはというと、もう二学期だというのに驚くほどクラスに馴染んでいない。


たとえ親しくなったクラスメイトがいてもお約束と言っていいほど眼帯のことを聞かれ、龍人ということを知られるのが怖くて距離を置いてしまう。


クラスメイトは龍人という人間がいることさえ知らない。


もし知ったとしても龍人は龍の鱗を持つただの人間なのに…わたしが龍人だと知らない今でさえこんな状態なのだから、知るとどうなるかは簡単に想像がつく。



ーー沙鷗だって、わたしに一目惚れしたって言ってもわたしが何者かを知ったらわたしから離れていくんだろうな。


自分のことを好いてくれた人に嫌われたり、避けられたりするのは苦しくて、だからわたしは知られたときのことを考えて臆病になるんだ。


「蓬先輩……?」