この眼帯で隠された左目によって大事な家族を失った、その瞬間が脳裏に蘇った。
暗闇の中玄関にいた黒に染まった人とわたしの両親。
血飛沫が上がった音。誰の者かさえもう分からなくなった低い呻き声。
急いで逃げるわたし。
心臓が締め付けられるように苦しくて、鼓動は今までに聞いたことのないぐらいの速さで打ちつけるように鳴る。
わたしはそこで目が覚めた。
金縛りにあったようにしばらく動けなくなり、恐怖で眠ろうとするのに目が冴えてしまっている。
少しだけ落ち着いた頃、わたしは部屋を出た。
部屋を出るといつも第一守り人としてわたしを監視している萊は向かい側の部屋から出てきてくれるから。
夜中でも早朝でも、いつ寝てるのかと聞きたいぐらい、いつでも。
わたしの隣に来て、側にいてくれる。
萊は昔から一緒にいた幼馴染みというやつで、しばらく外国に住んでいたけれど2年前に戻って来て。
わたしの昔のことを知っていて、全て受け入れてくれるからかな。

