「俺、昨日君の泣いてる姿見たんだ。何だろうな…何があったんだろうって気になって、頭から離れなくなって、こういうの一目惚れって言うんだろうな」
彼は恥ずかしそうにわたしから目を逸らすと黙々と食べ始め、不覚にも胸が一回トクンと高鳴った。
だって一目惚れ…なんて生まれて初めてされたから。
なんて意味もなく言い訳してみる。
「ごめん、辛いことがあったはずなのに不謹慎だよな」
「いや…それは……」
少し浮かれた気持ちは一転して、冷静になったわたしは恥ずかしいと思うのと同時に胸を貫くような緊張が走る。
もしかして、わたしの左目も見られたんじゃ……。
「わたしの目は……見た?」
「目……?」
「ごめんなさい。やっぱりなんでもない」
「手で隠れてたから見えてないよ」
くしゃっと笑った彼は仁くんが席に着いたからかそれ以上深くは聞いてこなかった。
昨日の夜中の話になる。
わたしがいつもの就寝時間にいつものように部屋のベッドで寝ていると、悪い夢を見た。
思い出したくもない、わたしの幼い頃の夢。

