「わあ、偶然!二人も来てたんだ~。
地元だもん、そりゃ来るよね。
でも、また会えると思わなかったから、
なんか嬉しー!」


交互に私達の顔を見て、無邪気に喜んでいる。


「レイナさん。
ひとり、…ですか?」


少し声が震えてる。

きっと、うまく笑えてない気がした。


「ううん。
私はね…、」


言い淀んでいる目線の先に、

連れらしき男の人を見つけて、

頭に血が昇る。


「花火!

修ちゃんに、誘われませんでしたか?」

「あの、かりんちゃん?」


レイナさんが戸惑ったような顔してる。

それなのに感情が昂ぶって、

キツイ口調になるのを抑えられない。


「修ちゃんは今日、バイト行くって言ってました。」

「そう…」

「ホントはレイナさんと来たかったんだと思うけど、
仕方ないですよね、他に行く相手いるんだったら」

「ごめんなさい。」


レイナさんはうつむいたまま、

小さな声で言った。

そうやって申し訳なさそうに謝られると、

何も言えなくて。

そんな自分にまた苛立ちが募る。


「私に謝らないでください。
失礼します。」


これ以上顔を見ていると、

もっとヒドイことを言ってしまいそうで。

別に私は、謝ってほしかったわけじゃない。


「おい、望月?
スミマセン、失礼します。」


関係のない早川が、レイナさんに謝る声が聞こえたけど。

一秒でも早く、その場を立ち去りたくて、

浴衣の裾をつまんだまま、ずんずん歩いた。



二人の問題に口出しなんかしちゃって、

修ちゃんが知ったらきっと怒るだろうな。

今さらだけど、頭の隅でそんなことを考えていた。

やっぱり私をファミレスに誘ってくれたのは、

今日が花火大会の日だったからなのかもしれない。

私なんかの慰めが必要なくらい凹んでたのは、

そういう訳だったんだ。