言えるわけないよね。

修ちゃんの恋の成就を願っていたはずの自分の中に、

私じゃダメなのかなって、どうしてもそんな想いが浮かんできてしまう。

こんなこと、人に言ったら軽蔑されそうでコワいのに、

打ち消しても打ち消しても止められなくて。

願っているはずの修ちゃんの幸せが、決して私の幸せとは言えない現実。

苦しくて後ろめたくて、こんな想い、今まで感じたことなかったのに。

意外なくらい冷静に、自分の気持ちを整理しながら、

花火に染まる空を黙って見上げていた。


「無理に、元気出せとか言うつもりないし」

「え?」


いつもと違う真面目なトーンの声に驚いて、視線を戻しても、

向こうは前を向いたまま、こちらを向いてはくれず。


「無理やり連れてきたのこっちだし。
お前、超メーワクそうな顔してたのにさ。」

「うそ、そんな顔してた?」


慌てて自分の頬に手をやる私を指さして、


「触ったってわかるわけねぇだろー?

お前、ホントバカ・・・、くくっ。」

「なんで笑うのー?」」

「そっちが笑わしてんだろー!
腹筋っ、腹筋いてぇ!」

「失礼なヤツ。
もう、笑いすぎー!」


あんまりしつこく笑ってるから、一発殴ってやらなきゃ気が済まなくて、

大きく腕を振り上げると、


「おっと。」


簡単にかわされて、上半身がグラリと揺れる。


「きゃっ」


私が声を上げると同時に摑まえてくれた腕に、

思わずしがみついていた。