ふわっと香るこの匂いは、
「り、く?」
陸のだ。
「ねぇ、陸どうしたの…?さっきから様子変だよ?」
問いかけても陸は答えてくれない。
代わりにぎゅーっと抱きしめる力が強くなるだけだ。
「ねぇ、陸ってば…!」
「…きだ。」
「へ?」
ボソッと言った陸の言葉は、あまりにも衝撃的だった。
「好きだ…。」
「り、く…」
「っ…なんで泣くんだよ?」
そう言われてはっと気づく、あたしなんで泣いてるんだろう。
「ひっ、く…わかん、ない。でも、止まらなくて…」
なんで涙が出るのかなんてわかんない。
でも、頭の中に竜牙の姿がちらつくのはどうしてだろう。
「なぁ、今結菜の頭にちらついてるのは誰だよ。…俺じゃないんだろ?」
陸の気持ちを気づけなかった、そんな自分へのイラつきの涙かな?
「ご、めん。あたしの、好きな人は陸じゃないの…!ごめ、なさい。」

