あたし、なんてことを。


バッと立ち上がり、

「サヨナラ!」


とだけ言い、あたしは、急いで理科準備室を後した。



脳内をぐるぐる回るのは、どアップの竜牙。


夢だと思いたい。

でも、唇に触れた唇の感触が残っている。


それが、これは現実だっと言ってる。


きっと、今のあたしの顔は真っ赤だろう。


竜牙に会いたくない。


今は、そう思う。

竜牙が、来るまでは会いたいと思っていたのに。


矛盾する気持ち。


これが何か、気づき始めた。


でも、この時のあたしは、この気持ちを気のせいと、否定した。


まるで、自分から逃げるように。