203号室で暮らそう

ここって、雄輔とよく来ていたお店だ。
 
シックなモノトーンの品揃えが多くて、雄輔好みなんだ。
 
彼の誕生日にはここで、黒いシンプルな目覚まし時計を買ってプレゼントしたっけ。

「ゆーか、こっちこっち。色々あるよ」
 
陽景くんはスタスタと先にお店に入り、私においでおいでをする。

「ああ……うん。だけど、陽景くん、その、アルマーニとか、ブランド物じゃなくて、いいの?」

「ああ、うん。何だかこう……。ゆーかの前だと、アルマーニとかCKとか……別に着飾らなくてもいいような気がしてさ」
 
にこっと笑う陽景くん。