203号室で暮らそう

その晩のこと、だった。
 
陽景くんが食器を洗ってくれている間、私は窓辺のベッドに座り、星空を眺めていた。
 
と、ふと携帯が鳴り、私はテーブルの上でブルブルと震えているそれに手を伸ばした。
 
着信表示は、名前ではなく相手の番号が示されていた。
 
電話帳に登録のないひとからの着信――誰だろう。

「はい、もしもし。日浦です――」
 
私が名を名乗って出ると、初め、電話の相手は無言だった。
 
イタズラ電話?
 
そう思った刹那。

『あー、俺……』