203号室で暮らそう

「なんだ。今度は笑ったりして。忙しい奴だなぁ」
 
初めてまともに聴く、陽景くんの声。
 
ちょっとハスキーがかった、まろやかで暖かな声。

「なんでもないの。ごめんね」
 
私はさっと立ち上がり、カバンを手にした。

「次のコマも講義あるんだ。行く?」

「うん。行く」
 
陽景くんもにこっと笑い、立ち上がった。
 
――さっきから、表情出しまくりじゃん。
 
少しこころがほどけたのかな?
 
私の涙での、ショック療法?