203号室で暮らそう

こころが、乱れる――。
 
ドクドク、ドクドク。
 
ハートが暴れる。
 
胸が締めつけられる。
 
私、雄輔の姿を、見たくないから。
 
いつも教職で一緒の講義になる時は、早めに教室に入って、一番前の席に座って、そして皆が教室を出て行くまで、絶対後ろを振り返らないようにしてたのに――。
 
私、いらないの。
 
ハートが煩いのは、もう、いらないの――。

「ゆ、ゆーか?」
 
あ……。
 
陽景くんが、初めて私の名を呼んだ。
 
彼は大きく目を見開いていた。
 
その陽景くんは、曇って見えた。