余計なお世話だったかもしれないけれど、フヌケ状態の彼が心配になった。
 
背がひょろ長い。ジーンズに包まれたその長い脚は、ベンチからはみ出して、だらんと垂れ下がっていた。
 
ほんの少し茶髪。パーマをあてているのか、天然なのか、細い髪はひょろひょろと吹く風に流されていた。
 
シンプルな白いYシャツが、汗ばんでいるのが解る。その薄い胸板にシャツはぴたっと張り付いていた。

「あのー、うち、来ます? すぐそこなんで……。シャワーでもどうです?」

「――――」
 
私の声が聞こえているのかいないのか、彼はまるで彫刻のように一切微動だにしない。
 
……放っておいてほしいのかな。
 
私はそう感じて、それじゃあ、失礼しますねと言ってくるりと彼に背を向け、その場を後にした。