203号室で暮らそう

まあ、大学に連れて行くのは構わないけれど、陽景くんの方の大学はどうなんだろう、とちらっと思った。

学生じゃないのかな?

社会人――だったら、今までのように、毎日のんべんだらりと暮らせるわけないし……。
 
無職さんなのかな?
 
私は深くは考えずに、彼を連れ立って約2ヶ月ぶりのキャンパスへとやってきた。
 
敷地内の、ほぼ真ん中にある校舎の4階での講義だ。
 
そこは、50人ほどしか入らない、小さな教室。
 
教職課程の講義だから、学部の講義に比べて、学生はぐっと少ないんだ。
 
始業10分前には教室に入り、私たちは一番前の席に座った。
 
前の席に場所をとったのは、授業に対するヤル気からくるものではなく――。
 
まあ、色々とあって……。