転んだ男の子がハルキと呼ばれていたのを聞いてそう漏らしたんだろう。

「お兄さんのお名前、なんていうんです?」

「陽景(はるかげ)」
 
初めて、私の問いかけに答えてくれたのが、何だか嬉しかった。

「陽景さん――いいお名前ですね」
 
あの子たちのお陰で、お兄さん――陽景さんとの距離が、縮まった気がした。
 
元々、私の部屋へ来るキッカケになったのも、あの少年たちの花火のせいだし。
 
まだまだ多くは語らない彼だけど、少しずつ打ち解けていけたらいいな、ってちょっぴり思った。
 
――もっとも、陽景さんはいつ私の目の前から姿を消すか、解らないけれど。