今までぼけっと突っ立っていたお兄さんが、ほんの少しはにかみながら、ハルキくんを両手で抱き起こしたんだ。
 
そして、パッパッとお尻についた砂を払ってやっている。
 
こんなに動いたお兄さん、初めて見る――。
 
じゃーねー、と今度はちゃんと両手をハンドルにかけて、少年たちは元気に走り去って行った。
 
お兄さんは走り行く少年たちの背中を見つめていた。

「……俺の名前にも、ハルがつく」
 
あ、しゃべった。