すると、転んだ子どもは目を見開いて、私の横にぼんやりと立つ居候を指差した。

「あーっ。花火の時のお兄さんだ！」
　
花火の時……。
　
ああ、よく見るとそのハルキと呼ばれた転んだ子は、昨日、公園で花火をしていて、このお兄さんに花火が当たったといって私に泣きついてきた子じゃないか。

「あー。ほんとだ。お兄さん、大丈夫だった？　びょーいん、行った？」
　
自転車に跨りながら、他の子も言う。
　
あの時の花火に居合わせた子なんだろう。

「病院には行くまでもなかったよ。大丈夫」
　
何も話さないお兄さんの代わりに私が答えた。