203号室で暮らそう

「わっ!」
 
ガシャーン!
 
突然、子どもの声がしたかと思うと、少年が私たちのすぐ傍で、自転車から転げ落ちた。
 
カラカラカラ……と横転した自転車のタイヤは天を向いて回っていて、男の子は尻もちをついてびっくりしたような表情をしていた。
 
自分でも、転んでしまったということに驚いて、訳が解らなくなっていたみたいだ。
 
後ろをついて走っていた子どもたちも、キキッとブレーキをかけて止まった。

「だっ、大丈夫?」
 
私の方こそ驚いて、彼に声をかけた。