203号室で暮らそう

前に私が住んでいた学生アパートの、前と同じ203号室へと私たちは戻ってきた。
 
ここから総てが始まり、一旦終焉を迎えたけれど、ここからまた物語が始まるんだ。
 
絡めた小指を、陽景くんは月光にさらす。
 
月の魔法は、永遠。

「さ、メシにしようか。俺、スープつくる」

「うん。一緒につくろう」
 
私たちは顔を見合わせて、微笑み合った。
 
ウインクしたお月様も、星々も、きっと窓の外から、ずっと。
 
203号室をあたたかく見守ってくれている。
 
ずっと、きっと、永遠に――。