203号室で暮らそう

「ゆーか。結婚してくれ」

「けっ……結婚?」
 
結婚もなにも、私たちはさっき再会したばかりで、そして、お互いの気持ちも、さっき確認できたばかりで……。

「今すぐじゃないよ。将来的に。だから――……」
 
彼の言葉を遮るように、コンコン、とドアをノックする乾いた音が響いた。
 
ゆっくりとドアが開くと、そこには華奢でどこか欧米的な顔つきをした、ロマンスグレーの品のよさそうな……素敵な形容がつく、紳士が姿を現した。
 
……目で解った。似ているんだもん。
 
陽景くんに、よく。