203号室で暮らそう

「……そうなの……」
 
どこからか漂う哀愁は、本当は子どもながらに淋しさを抱えてきた残像なのかもしれない。

「……さっきの子、いたろ。あのウエイトレス。春日麗華。あの子のことが、俺、ずっと好きで。なかなか告白もできないままでいたんだ」

「――」
 
胸がぴりっと妬ける。
 
あんな綺麗なひとが、陽景くんはやっぱり好きなんだ……。