「立派ね」
「まあね。支店も全国にいくつかあるけど、ここが本店。俺はおんぞーしってわけ」
両手を天井に放って彼は言う。
そうか。
どこか気品が漂っていたのは、この成り立ちのせいだったんだ。
「将来は、俺がオーナーになることが決まってるから、ボーイは下積みってわけ現場を見ないとね。そのうち、経営学なりもっともっと勉強しなきゃいけない」
「……そう……」
陽景くんは、無職さんでも浮浪人でも学生でもなかったんだ。
「お金も地位も、黙っていても、手に入る。だけど、恋だけは掴むことができなかった」
失恋したてで、私と出会った頃の陽景くんは、生気のない瞳をしていて、まるで幽霊みたいにふらふらしていた。
「まあね。支店も全国にいくつかあるけど、ここが本店。俺はおんぞーしってわけ」
両手を天井に放って彼は言う。
そうか。
どこか気品が漂っていたのは、この成り立ちのせいだったんだ。
「将来は、俺がオーナーになることが決まってるから、ボーイは下積みってわけ現場を見ないとね。そのうち、経営学なりもっともっと勉強しなきゃいけない」
「……そう……」
陽景くんは、無職さんでも浮浪人でも学生でもなかったんだ。
「お金も地位も、黙っていても、手に入る。だけど、恋だけは掴むことができなかった」
失恋したてで、私と出会った頃の陽景くんは、生気のない瞳をしていて、まるで幽霊みたいにふらふらしていた。



