203号室で暮らそう

辺りを見回しても、お客さんはそれなりに、スーツとかイブニングドレスとか、皆正装している。
 
少なくとも、私みたいにパーカーにジーンズ姿なんてくだけた格好のひとはいない。
 
なんだか、私は場違いなところに来てしまったようで、窓の外に目を向けた。
 
もう、外は真っ暗。
 
お店を取り囲むかのように、背の低い木々がきちんと整列されている。 
 
その先の景色は伺えない。外界とは一切遮断されたお店だ。
 
例えば、趣味の悪い大理石の天使像とか、ギラギラした光のイルミネーションなんかも一切飾り付けられていない。