203号室で暮らそう

「こちらのお客様、通してやって」
 
陽景くんは彼女にそう伝えると、ひとりで店の奥のどこかへと行ってしまった。

「いらっしゃいませ。さあ、どうぞ」
 
黒髪をひとつに束ねている、どこか清楚なお嬢さん風の美人なウエイトレスさんに私は店を案内される。
 
窓際の席に通されると、私は促されるままに座った。

「お飲みものは、いかがいたしましょう」

「え、えっと……とりあえずお水でいいです」
 
清楚で美人な彼女はにっこりと笑う。

「かしこまりました」
 
なんで、私はこんなところにいるんだろう……一体、陽景くんはどこに行っちゃったの?
 
なんだか格式高いお店だな……。