203号室で暮らそう





「ハナドゥール?」
 
私たちは、ひとしきり再会を噛み締めあったあと、陽景くんの先導で駅近くの裏路地にある、大きな白い洋館のお店へとやってきた。
 
洗練されたデザインで、筆記体でhanadourと看板にかかれてあった。
 
なんだろう……洋食店のようだけど……。

「ここ、入ろう、ゆーか」

「え。でも、何だか高そう」

「大丈夫」
 
私の心配をよそに、彼はお店の白いドアを開いた。
 
私を先に入るように促してくれる。おずおずと従った。

「いらっしゃいま……あら」
 
出迎えてくれた、黒いパンツルックのウエイトレスさんが、陽景くんと私を見て、にこにこと笑みをたたえる。