切符を通すのを忘れて、改札口の閉まったゲートに体当たりしてしまった。
気を取り直して、今度はきちんと切符を吸い込ませ、そして。
そして、ゆっくりと陽景くんの元へと、近づいていった。
ちゃんと、彼の空気を感じることができるほどの、距離に、立った。
「ふふ。ペアルックだね」
陽景くんに買ってもらったおそろいのパーカーを着てきたのに、彼は気づいてくれた。
他愛もない、一声だった。
「うん……ペアルック」
「久しぶり」
「うん……久しぶり」
「……」
陽景くんは、次の何らかの科白を言おうと、口を開いた。
けれども、開いた口からは、何の言葉も放たれなかった。
その代わりに、懐かしい笑みを見せてくれた。
気を取り直して、今度はきちんと切符を吸い込ませ、そして。
そして、ゆっくりと陽景くんの元へと、近づいていった。
ちゃんと、彼の空気を感じることができるほどの、距離に、立った。
「ふふ。ペアルックだね」
陽景くんに買ってもらったおそろいのパーカーを着てきたのに、彼は気づいてくれた。
他愛もない、一声だった。
「うん……ペアルック」
「久しぶり」
「うん……久しぶり」
「……」
陽景くんは、次の何らかの科白を言おうと、口を開いた。
けれども、開いた口からは、何の言葉も放たれなかった。
その代わりに、懐かしい笑みを見せてくれた。



