「あ……」
 
あんなに駆け足で来たのに、改札のすぐ手前で、足は止まってしまった。
 
私の目が、影をとらえたんだ。
 
白いパーカー、ブルージーンズ。
 
ひょろっと高い背、どこか気品のあるオーラ……。
 
陽景くん――……。
 
私は、改札手前で立ちつくしてしまった。
 
本物?
 
本物の陽景くんなの?