203号室で暮らそう

「……」
 
お兄さんは一向に口を利こうとしない。
 
だけど、……ひとりじゃない夕食って、楽しいな。
 
いつもよりも、ゴーヤも苦くない……?
 
誰か相手がいるって、いいよね。
 
なんて、ちらっとお兄さんを見ながらお味噌汁をすすった。

「あ、あの私、日浦木綿花っていいます。ハタチの大学生です」
 
返事はないのは解っていたけれど、一応、自己紹介しておいた。
 
彼は私と同じくらいの年齢か……ひとつふたつ上といったところ。
 
学生、かな。